ベクトル
ベクトル(vector)は、大きさと向きを持つ量、またはベクトル空間の要素として扱われる数学的対象である。
幾何ベクトル
平面や空間では、ベクトルを矢印として表せる。成分表示を用いると、加法やスカラー倍を数値計算として実行できる。
内積
内積は2つのベクトルから1つの数を得る演算で、長さや角度、直交性を表す。物理学では仕事などの計算にも現れる。
ベクトル空間
抽象的には、関数や多項式もベクトルとして扱える。線形代数学はこの一般化されたベクトル空間を研究する。
成分計算と座標系
ベクトルの加法は成分ごとに行う。u=(2,1)、v=(−1,3)ならu+v=(1,4)であり、矢印をつないだ合成と一致する。成分は基底の選び方で変わるが、同じ幾何学的対象を表せる。位置を表す点と、二点の差としての変位ベクトルも区別すると、座標の原点を変えたときの混乱を防げる。
例:内積から射影を求める
内積u·v=|u||v|cosθは、二つの方向のそろい方を測る。a=(3,4)をb=(1,0)方向へ射影すると、係数(a·b)/(b·b)=3だから射影は(3,0)になる。残差(0,4)はbと直交する。この分解は力の成分、最小二乗近似、信号の分離にも現れる。
proj_b(a) = {(a·b)/(b·b)} b (b≠0)
長さと角度の不等式
コーシー・シュワルツの不等式|u·v|≤‖u‖‖v‖により、内積から求めるcosθが−1から1の範囲に収まる。三角不等式‖u+v‖≤‖u‖+‖v‖は、直行するより寄り道の方が短くならないことに対応する。ただしベクトル同士の割り算は一般には定義されず、内積・外積・成分ごとの積は別の演算である。
確認問題
u=(1,2)、v=(2,−1)の内積と角度を求めよ。
解答と考え方を見る
内積は1×2+2×(−1)=0。両方が0ベクトルでないため直交し、角度は90度となる。
参考資料・次に読む資料
- MIT OpenCourseWare: Linear Algebra連立方程式・ベクトル空間・行列式・固有値の講義資料。
資料確認日:2026-10-12。