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ベクトル・行列の問題集

Kanapedia 数学 · 2026-11-03

内積、一次結合、行列の積、逆行列、直交射影、固有ベクトルを練習します。図形的な意味と成分計算を結び、行列の積の順序や射影の向きを確認します。

この問題集では実数成分のベクトルと行列を扱います。ベクトルは列ベクトルとし、行列は左から掛けます。

内積の分母にベクトルの長さが現れるときは、零ベクトルでないことが必要です。逆行列を使う前には、行列式が0でないことを確認します。

問題に取り組む

基礎

問題1 内積と角度

a=(2,−1)\mathbf a=(2,-1)、b=(3,4)\mathbf b=(3,4)の内積を求めてください。また、二ベクトルのなす角θ∈[0,π]\theta\in[0,\pi]についてcos⁡θ\cos\thetaを求めてください。

ヒントを見る

成分ごとの積の和と、a⋅b=∥a∥∥b∥cos⁡θ\mathbf a\cdot\mathbf b=\|\mathbf a\|\|\mathbf b\|\cos\thetaを使います。

解答と途中式を見る

解き方

  1. a⋅b=2⋅3+(−1)⋅4=2\mathbf a\cdot\mathbf b=2\cdot3+(-1)\cdot4=2です。
  2. ∥a∥=5\|\mathbf a\|=\sqrt5、∥b∥=5\|\mathbf b\|=5です。どちらも零ベクトルではないので、cos⁡θ=255\cos\theta=\frac2{5\sqrt5}となります。

答え

a⋅b=2,cos⁡θ=255\mathbf a\cdot\mathbf b=2,\qquad\cos\theta=\frac2{5\sqrt5}

検算・確かめ方

余弦は00より大きく11未満なので角は鋭角です。内積が正ということとも一致します。

基礎

問題2 二つのベクトルの一次結合

u=(1,1)\mathbf u=(1,1)、v=(2,−1)\mathbf v=(2,-1)について、(7,1)=su+tv(7,1)=s\mathbf u+t\mathbf vを満たす実数s,ts,tを求めてください。

ヒントを見る

二つの成分をそれぞれ等しいと置きます。

解答と途中式を見る

解き方

  1. 成分を比較するとs+2t=7s+2t=7、s−t=1s-t=1です。二式を引くと3t=63t=6なのでt=2t=2です。
  2. s−t=1s-t=1へ戻してs=3s=3です。係数行列の行列式は−3≠0-3\ne0なので、解は一意です。

答え

s=3,t=2s=3,\qquad t=2

検算・確かめ方

3(1,1)+2(2,−1)=(3,3)+(4,−2)=(7,1)3(1,1)+2(2,-1)=(3,3)+(4,-2)=(7,1)です。

標準

問題3 行列の積の順序

A=(1201)A=\begin{pmatrix}1&2\\0&1\end{pmatrix}、B=(2013)B=\begin{pmatrix}2&0\\1&3\end{pmatrix}について、ABABとBABAを計算し、一致するか調べてください。

ヒントを見る

積の第(i,j)(i,j)成分は、左の行列の第ii行と右の行列の第jj列の内積です。

解答と途中式を見る

解き方

  1. AB=(1⋅2+2⋅11⋅0+2⋅30⋅2+1⋅10⋅0+1⋅3)=(4613)AB=\begin{pmatrix}1\cdot2+2\cdot1&1\cdot0+2\cdot3\\0\cdot2+1\cdot1&0\cdot0+1\cdot3\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}4&6\\1&3\end{pmatrix}
  2. BA=(2⋅1+0⋅02⋅2+0⋅11⋅1+3⋅01⋅2+3⋅1)=(2415)BA=\begin{pmatrix}2\cdot1+0\cdot0&2\cdot2+0\cdot1\\1\cdot1+3\cdot0&1\cdot2+3\cdot1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2&4\\1&5\end{pmatrix}
  3. 第(1,1)(1,1)成分だけでも異なるため、AB≠BAAB\ne BAです。一般に行列の積の順序は交換できません。

答え

AB=(4613),BA=(2415)AB=\begin{pmatrix}4&6\\1&3\end{pmatrix},\qquad BA=\begin{pmatrix}2&4\\1&5\end{pmatrix}

検算・確かめ方

det⁡A=1\det A=1、det⁡B=6\det B=6で、両方の積の行列式は66になります。同じ行列式を持つことは、行列そのものが等しいことを意味しません。

標準

問題4 逆行列で連立方程式を解く

連立方程式2x+y=52x+y=5、x−y=1x-y=1を、逆行列を使って解いてください。

ヒントを見る

係数行列の行列式を確かめ、2×22\times2行列の逆行列を求めます。

解答と途中式を見る

解き方

  1. A=(211−1)A=\begin{pmatrix}2&1\\1&-1\end{pmatrix}とすると、方程式はA(xy)=(51)A\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}5\\1\end{pmatrix}です。det⁡A=−2−1=−3≠0\det A=-2-1=-3\ne0なので逆行列が存在します。
  2. A−1=1−3(−1−1−12)=13(111−2)A^{-1}=\frac1{-3}\begin{pmatrix}-1&-1\\-1&2\end{pmatrix}=\frac13\begin{pmatrix}1&1\\1&-2\end{pmatrix}
  3. 左から掛けると(xy)=13(63)=(21)\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\frac13\begin{pmatrix}6\\3\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2\\1\end{pmatrix}です。

答え

x=2,y=1x=2,\qquad y=1

検算・確かめ方

2⋅2+1=52\cdot2+1=5、2−1=12-1=1です。またAA−1=IAA^{-1}=Iを計算すると、逆行列の符号も確かめられます。

標準

問題5 直線への直交射影

a=(3,4)\mathbf a=(3,4)を、原点を通りb=(1,2)\mathbf b=(1,2)を方向ベクトルとする直線へ直交射影したベクトルp\mathbf pを求めてください。また、点a\mathbf aとこの直線の距離を求めてください。

ヒントを見る

p=tb\mathbf p=t\mathbf bと置き、残差a−p\mathbf a-\mathbf pがb\mathbf bに垂直となる条件を使います。

解答と途中式を見る

解き方

  1. (a−tb)⋅b=0(\mathbf a-t\mathbf b)\cdot\mathbf b=0より、t=a⋅bb⋅b=115t=\frac{\mathbf a\cdot\mathbf b}{\mathbf b\cdot\mathbf b}=\frac{11}{5}です。
  2. したがってp=(115,225)\mathbf p=\left(\frac{11}{5},\frac{22}{5}\right)です。残差はa−p=(45,−25)\mathbf a-\mathbf p=\left(\frac45,-\frac25\right)です。
  3. 距離は残差の長さなので、1625+425=25\sqrt{\frac{16}{25}+\frac4{25}}=\frac{2}{\sqrt5}です。

答え

p=(115,225),距離=25\mathbf p=\left(\frac{11}{5},\frac{22}{5}\right),\qquad\text{距離}=\frac2{\sqrt5}

検算・確かめ方

残差と方向の内積は45−45=0\frac45-\frac45=0です。直線2x−y=02x-y=0と点(3,4)(3,4)の距離公式でも∣6−4∣5\frac{|6-4|}{\sqrt5}を得ます。

発展

問題6 固有ベクトルで行列のべきを求める

A=(2112)A=\begin{pmatrix}2&1\\1&2\end{pmatrix}とします。任意の整数n≥0n\ge0について、An(10)A^n\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}を求めてください。A0=IA^0=Iとします。

ヒントを見る

(1,1)(1,1)と(1,−1)(1,-1)にAAを掛け、最初のベクトルをその二方向へ分けます。

解答と途中式を見る

解き方

  1. v1=(11)\mathbf v_1=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}、v2=(1−1)\mathbf v_2=\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix}と置くと、Av1=3v1A\mathbf v_1=3\mathbf v_1、Av2=v2A\mathbf v_2=\mathbf v_2です。したがってAnv1=3nv1A^n\mathbf v_1=3^n\mathbf v_1、Anv2=v2A^n\mathbf v_2=\mathbf v_2です。
  2. (10)=12v1+12v2\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}=\frac12\mathbf v_1+\frac12\mathbf v_2なので、線形性からAn(10)=3n2v1+12v2A^n\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}=\frac{3^n}{2}\mathbf v_1+\frac12\mathbf v_2です。
  3. 成分をまとめると、((3n+1)/2(3n−1)/2)\begin{pmatrix}(3^n+1)/2\\(3^n-1)/2\end{pmatrix}になります。

答え

An(10)=(3n+123n−12)(n≥0)A^n\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\frac{3^n+1}{2}\\\frac{3^n-1}{2}\end{pmatrix}\qquad(n\ge0)

検算・確かめ方

n=0n=0で(1,0)(1,0)、n=1n=1で(2,1)(2,1)、n=2n=2で(5,4)(5,4)です。直接の行列積と一致します。

参考資料・次に読む資料

資料確認日:2026-11-03。