√2が無理数であることの証明
小数をたくさん計算しても、その先が循環しないことまでは分かりません。√2の無理性は、既約分数と偶奇の性質を組み合わせて証明できます。「有理数だとすると何が破綻するか」を追う、背理法の基本例です。
定理の主張
実数 は、整数 ()を用いた分数 では表せません。つまり は無理数です。
成立する条件
有理数は整数の比で表せる実数です。分数は分子と分母を最大公約数で割り、分母を正にして既約形にできます。
偶数は 、奇数は ( は整数)と表せます。「平方が偶数なら元も偶数」という補題を使います。
証明
- 補題を先に示します。整数 が奇数なら、 と書けて、 も奇数です。対偶を取ると、 が偶数なら は偶数です。
- ここで が有理数であると仮定します。正整数 を用いて と既約形で表し、 とできます。
- 両辺を二乗して分母を払うと 。右辺が偶数なので は偶数であり、補題から も偶数です。そこで と置きます。
- 代入すると 、したがって です。同じ補題により も偶数になります。すると は共通因数 を持ち、既約であるという仮定に矛盾します。
- 矛盾は「 が有理数」という仮定から生じました。よってその仮定は誤りであり、 は無理数です。途中で小数展開の性質を仮定していない点が重要です。
使ってみる
同じ考え方で、素数 の平方根 も無理数と示せます。ただしその場合は「 が を割り切るなら を割り切る」という素数の性質が必要です。
も無理数です。もし が有理数なら、それを非零有理数 で割った も有理数となり、証明済みの結果に反します。
注意点
分子と分母がともに偶数になること自体は矛盾ではありません。最初に「既約形」としたからこそ矛盾になります。また、分母が の分数は使えません。
確認問題
が無理数であることを、 の無理性から示してください。
解答と考え方を見る
もし が有理数なら、 も有理数になります。有理数は引き算と非零有理数による割り算で閉じているので、 の無理性と矛盾します。
参考資料・次に読む資料
- OpenStax:Precalculus 2e式・関数・指数・対数・三角関数・数列を学ぶ教科書。
- MIT OCW:Mathematics for Computer Science論理・証明法・整数・数え上げ・離散確率の講義。
資料確認日:2026-11-03。