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数学的帰納法と自然数の和の証明

Kanapedia 数学 · 2026-11-03

無限に多くの自然数についての主張を、一つずつ計算して確かめることはできません。数学的帰納法では、出発点が正しいことと、正しさが次へ伝わることを示します。自然数の和を例に、仮定をどこで使うかまで追います。

定理の主張

正整数 nn に対して、1+2+⋯+n=n(n+1)2.1+2+\cdots+n=\frac{n(n+1)}2. 一般に、P(1)P(1) と「任意の正整数 kk について P(k)⇒P(k+1)P(k)\Rightarrow P(k+1)」を示せば、すべての正整数 nn で P(n)P(n) が成り立ちます。

成立する条件

添字は正整数です。n=0n=0 を含める場合は、空の和を 00 と定め、出発点も 00 にします。

帰納段階では、特定の kk だけでなく任意の k≥1k\ge1 を扱います。結論を無条件に仮定するのではなく、P(k)P(k) を仮定したときに P(k+1)P(k+1) が導けることを証明します。

証明

  1. まず n=1n=1 では左辺が 11、右辺が 1⋅2/2=11\cdot2/2=1 となり、出発点は成立します。
  2. 次に、ある任意の正整数 kk について 1+⋯+k=k(k+1)/21+\cdots+k=k(k+1)/2 が成り立つと仮定します。k+1k+1 番目までの和は、そこまでの和に新しい項 k+1k+1 を足したものです。
  3. 帰納法の仮定を代入すると、1+⋯+k+(k+1)=k(k+1)2+(k+1)=(k+1)(k+2)2.1+\cdots+k+(k+1)=\frac{k(k+1)}2+(k+1)=\frac{(k+1)(k+2)}2. これは公式の nn を k+1k+1 に置き換えた式です。よって帰納段階が成立します。
  4. 出発点から帰納段階を繰り返すと、1,2,3,…1,2,3,\ldots のどの段階にも到達できます。自然数の整列性を使えば、反例があると仮定して最小の反例 mm を取り、m≠1m\ne1 かつ P(m−1)⇒P(m)P(m-1)\Rightarrow P(m) となる矛盾としても説明できます。

使ってみる

1+2+⋯+100=100⋅101/2=50501+2+\cdots+100=100\cdot101/2=5050 です。11 から 100100 まで実際に足すことは、この一例の確認にはなりますが、任意の nn についての証明にはなりません。

数列の不等式や漸化式の一般項にも同じ枠組みが使えます。帰納段階で式が閉じない場合は、証明したい主張をより強い形にする必要があることもあります。

注意点

帰納段階だけでは出発点がありません。例えば「全自然数が負である」という誤った主張も、前提が偽なら条件文を形式上満たす場合があります。基底と帰納段階の両方が必要です。

確認問題

1+3+5+⋯+(2n−1)=n21+3+5+\cdots+(2n-1)=n^2 を数学的帰納法で証明してください。

解答と考え方を見る

n=1n=1 は 1=121=1^2。kk 番目までの和が k2k^2 と仮定すると、次の奇数は 2k+12k+1 なので、和は k2+2k+1=(k+1)2k^2+2k+1=(k+1)^2。したがって、すべての正整数 nn で成立します。

参考資料・次に読む資料

資料確認日:2026-11-03。