数学的帰納法と自然数の和の証明
無限に多くの自然数についての主張を、一つずつ計算して確かめることはできません。数学的帰納法では、出発点が正しいことと、正しさが次へ伝わることを示します。自然数の和を例に、仮定をどこで使うかまで追います。
定理の主張
正整数 に対して、 一般に、 と「任意の正整数 について 」を示せば、すべての正整数 で が成り立ちます。
成立する条件
添字は正整数です。 を含める場合は、空の和を と定め、出発点も にします。
帰納段階では、特定の だけでなく任意の を扱います。結論を無条件に仮定するのではなく、 を仮定したときに が導けることを証明します。
証明
- まず では左辺が 、右辺が となり、出発点は成立します。
- 次に、ある任意の正整数 について が成り立つと仮定します。 番目までの和は、そこまでの和に新しい項 を足したものです。
- 帰納法の仮定を代入すると、 これは公式の を に置き換えた式です。よって帰納段階が成立します。
- 出発点から帰納段階を繰り返すと、 のどの段階にも到達できます。自然数の整列性を使えば、反例があると仮定して最小の反例 を取り、 かつ となる矛盾としても説明できます。
使ってみる
です。 から まで実際に足すことは、この一例の確認にはなりますが、任意の についての証明にはなりません。
数列の不等式や漸化式の一般項にも同じ枠組みが使えます。帰納段階で式が閉じない場合は、証明したい主張をより強い形にする必要があることもあります。
注意点
帰納段階だけでは出発点がありません。例えば「全自然数が負である」という誤った主張も、前提が偽なら条件文を形式上満たす場合があります。基底と帰納段階の両方が必要です。
確認問題
を数学的帰納法で証明してください。
解答と考え方を見る
は 。 番目までの和が と仮定すると、次の奇数は なので、和は 。したがって、すべての正整数 で成立します。
参考資料・次に読む資料
- MIT OCW:Mathematics for Computer Science論理・証明法・整数・数え上げ・離散確率の講義。
- OpenStax:Precalculus 2e式・関数・指数・対数・三角関数・数列を学ぶ教科書。
資料確認日:2026-11-03。