フェルマーの最終定理
フェルマーの最終定理は、整数 n>2のとき xⁿ+yⁿ=zⁿ を満たす正の整数解が存在しないという定理である。
定理
xⁿ+yⁿ=zⁿ (n>2)
この方程式に正の整数解 x,y,z は存在しない。
n=2との違い
n=2 では 3²+4²=5² のような解が無数にあり、ピタゴラスの定理と結び付く。
ワイルズによる証明
アンドリュー・ワイルズは楕円曲線とモジュラー形式の理論を用いて証明した。単純な形の整数方程式が、非常に深い現代数学へつながった代表例である。
指数を絞り込める理由
nが奇素数pを因数に持ちn=pkなら、xⁿ+yⁿ=zⁿという反例からX=xᵏ、Y=yᵏ、Z=zᵏと置いてXᵖ+Yᵖ=Zᵖという反例が得られる。奇素因数がなくn>2ならnは4の倍数なので、同様に指数4へ帰着できる。したがって指数4とすべての奇素数指数を除外すれば十分である。
証明全体の論理構造
ワイルズらの証明では、反例があれば特殊な楕円曲線を作れるという着想と、その曲線はモジュラーになれないというリベットの結果を利用する。一方、半安定楕円曲線はモジュラーであるという定理から、同じ曲線がモジュラーであることが従い矛盾する。これは証明の道筋であり、各深い定理の証明を省略した概説である。
初等例と一般定理を分ける
指数2には(m²−n²)²+(2mn)²=(m²+n²)²という恒等式があり、m>n>0から整数解を作れる。しかし指数を3へ変えるだけで同じ構成は使えない。大きな範囲を計算して反例が見つからなくても、無限にある候補をすべて排除したことにはならない。指数4には無限降下法による古典的証明があるが、それだけで奇素数指数まで証明したことにはならない。
確認問題
指数15の反例があったとき、指数3の反例をどう作るか。
解答と考え方を見る
X=x⁵、Y=y⁵、Z=z⁵と置く。するとX³+Y³=Z³となる。各値は正の整数なので、指数3の定理に矛盾する。
参考資料・次に読む資料
- Andrew Wiles (1995): Modular elliptic curves and Fermat’s Last Theoremフェルマーの最終定理へ至る研究の原論文。本文の概説は完全な証明ではない。
- MIT OpenCourseWare: Mathematics for Computer Science定義・証明・集合・数え上げ・離散確率を学ぶ講義資料。
資料確認日:2026-10-12。