条件付き確率とベイズの定理の証明
Kanapedia 数学 · 2026-11-03
ベイズの定理は、結果が観測された後で、原因や仮説の確率を更新するための関係式です。別の特別な確率を導入するのではなく、同じ共通部分の確率を二通りに書きます。分母には、その結果が生じる全経路の確率が必要です。
定理の主張
P(A)>0,P(B)>0 のとき、P(A∣B)=P(B)P(B∣A)P(A). さらに事象 A1,…,An が排反で全体を尽くし、各 P(Ai)>0 なら、P(Ai∣B)=∑j=1nP(B∣Aj)P(Aj)P(B∣Ai)P(Ai).
成立する条件
同じ確率空間上の事象を扱います。条件付き確率 P(A∣B) は、条件となる事象 B の確率が正である場合に P(A∩B)/P(B) と定義します。
分割 A1,…,An は互いに重ならず、全事象を覆うものです。確率 0 の分割要素がある場合は、この形を使う前にそれを除いて扱います。
証明
- 条件付き確率の定義から、P(A∣B)P(B)=P(A∩B) です。一方、P(B∣A)P(A)=P(B∩A)。集合の共通部分は順序を交換しても同じなので、右辺同士は等しくなります。
- したがって P(A∣B)P(B)=P(B∣A)P(A)。正の数 P(B) で割れば、一つ目のベイズの公式が得られます。ここまでに A,B の独立性は仮定していません。
- 分割を使う場合、B は排反な事象 B∩A1,…,B∩An の和集合です。確率の加法性から、P(B)=j=1∑nP(B∩Aj)=j=1∑nP(B∣Aj)P(Aj). これが全確率の公式です。
- この分母を先ほどのベイズの公式に代入すれば、分割に対する形が得られます。分子は注目する経路の確率、分母は観測された結果に至る全経路の確率なので、結果が起きた集団の中での割合として理解できます。
使ってみる
袋Ⅰを確率 1/3、袋Ⅱを確率 2/3 で選び、選んだ袋から玉を一つ無作為に取り出します。Ⅰは赤2・白1、Ⅱは赤1・白3です。赤が出る確率は (1/3)(2/3)+(2/3)(1/4)=2/9+1/6=7/18。
赤が出たと分かったとき、袋Ⅰだった確率は (2/9)/(7/18)=4/7 です。袋Ⅰを選ぶ事前確率 1/3 と、赤が出た後の確率 4/7 は異なります。
注意点
P(B∣A) と P(A∣B) は一般に等しくありません。結果がよく出る原因でも、もともとの出現頻度が小さければ、結果の大部分を占めるとは限りません。実際のデータでは、事前確率や条件付き確率の推定誤差も残ります。
確認問題
上の袋の例で、白が出たと分かったとき、袋Ⅰだった確率を求めてください。
解答と考え方を見る
袋Ⅰかつ白の確率は (1/3)(1/3)=1/9。白が出る確率は 1/9+(2/3)(3/4)=1/9+1/2=11/18。したがって (1/9)/(11/18)=2/11 です。
参考資料・次に読む資料
資料確認日:2026-11-03。