コーシー・シュワルツの不等式の証明
Kanapedia 数学 · 2026-11-03
二つの数列の積の和は、それぞれの二乗和によって上から抑えられます。コーシー・シュワルツの不等式は、平方の和が非負であることから導け、ベクトルの内積や角度の定義にもつながります。
定理の主張
実数列 a1,…,an と b1,…,bn(n≥1)について、(i=1∑naibi)2≤(i=1∑nai2)(i=1∑nbi2). 等号条件は、対応する二つのベクトルが線形従属であることです。
成立する条件
このページでは実数の有限列を扱います。複素数の場合は共役と絶対値を入れた形が必要です。
零ベクトルも認めます。等号条件を「常に ai/bi が等しい」と書くと、分母が 0 の場合を取り落とします。
証明
- A=∑ai2、B=∑bi2、C=∑aibi と置きます。まず B=0 なら、非負の項の和が 0 なので全ての bi=0。このとき C=0 で、不等式は等号として成立します。
- B>0 の場合を考えます。任意の実数 t に対して、平方の和は非負ですから、0≤i=1∑n(ai−tbi)2=A−2Ct+Bt2. ここで t=C/B と選べます。
- 代入すると 0≤A−C2/B です。正の数 B を掛けて C2≤AB となり、不等式が証明されました。
- B>0 の場合、等号になるのは ∑(ai−(C/B)bi)2=0 のときです。各項が非負なので、これは全ての i で ai=(C/B)bi となることと同値です。
- したがって、一方が零である場合も含め、等号条件は二つのベクトルが線形従属であることです。特に両者が非零なら、一方が他方の実数倍になるときに限って等号が成立します。
使ってみる
a=(1,2,2)、b=(2,1,2) では、内積が 8、二乗和は双方とも 9 です。したがって 82=64≤81=9⋅9。二つのベクトルは比例していないので不等号は厳密です。
b=(1,…,1) を代入すると、(a1+⋯+an)2≤n(a12+⋯+an2). 等号は全ての ai が等しいときです。数の和が固定された問題で、二乗和の最小値を求めるのに使えます。
注意点
両辺の平方根を取った形は ∣a⋅b∣≤∥a∥∥b∥ です。内積自体は負になることがあるため、絶対値を忘れないでください。
確認問題
実数 x,y,z が x+y+z=6 を満たすとき、x2+y2+z2 の最小値を求めてください。
解答と考え方を見る
36=(x+y+z)2≤3(x2+y2+z2) より、二乗和は 12 以上です。等号条件 x=y=z と和の条件から x=y=z=2 で達成されるため、最小値は 12 です。
参考資料・次に読む資料
資料確認日:2026-11-03。