二項定理の組合せによる証明
二項定理は展開式の係数をまとめる公式です。各括弧からどちらの項を選ぶかを数えると、係数が組合せの数になる理由が分かります。公式の記憶だけでなく、特定の項を取り出す方法にもつながります。
定理の主張
多項式の恒等式として、非負整数 と、積の順序を交換できる数 について、 定数項として現れる は、多項式の記法で と扱います。
成立する条件
は非負整数です。負数や分数の指数を扱う無限級数の二項展開とは、条件も収束の問題も異なります。
実数や複素数に適用できます。一般の行列では が保証されないため、同じ形の式を無条件には使えません。 とします。
証明
- とし、 個の括弧 を考えます。分配法則で展開した各項は、各括弧から または を一つずつ選んだ結果です。
- そのうち 個の括弧から を、残る 個から を選ぶと、積は になります。交換法則により、どの順番で選んでも同じ単項式にまとめられます。
- を選ぶ括弧の位置を 個から 個選ぶ方法は 通りです。順序を付けた選び方 を、同じ組の並び方 で割ることで、この個数が得られます。
- どの選び方にも の個数 がただ一つ対応し、 の場合を合わせると全選択を重複なく尽くします。したがって、各単項式にその個数を掛けた総和が展開式になり、二項定理が成立します。
- のときは両辺とも定数 となり成立します。また、 として、 個から 個選ぶとき最後の要素を含むか否かで分ければ、 というパスカルの関係も得られます。
使ってみる
の の係数は、 を3回、 を2回選ぶので、 です。全体を展開しなくても計算できます。
と置くと 。これは 個の要素の各々を「選ぶ・選ばない」と決める方法の総数でもあります。
注意点
では、 に相当する項が なので が付きます。係数だけでなく指数と符号を確認してください。
確認問題
の の係数を求めてください。
解答と考え方を見る
を4回、 を2回選びます。係数は です。
参考資料・次に読む資料
- OpenStax:Precalculus 2e式・関数・指数・対数・三角関数・数列を学ぶ教科書。
- MIT OCW:Mathematics for Computer Science論理・証明法・整数・数え上げ・離散確率の講義。
資料確認日:2026-11-03。