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二項定理の組合せによる証明

Kanapedia 数学 · 2026-11-03

二項定理は展開式の係数をまとめる公式です。各括弧からどちらの項を選ぶかを数えると、係数が組合せの数になる理由が分かります。公式の記憶だけでなく、特定の項を取り出す方法にもつながります。

定理の主張

多項式の恒等式として、非負整数 nn と、積の順序を交換できる数 x,yx,y について、(x+y)n=∑k=0n(nk)xn−kyk,(nk)=n!k!(n−k)!.(x+y)^n=\sum_{k=0}^{n}\binom nk x^{n-k}y^k,\qquad\binom nk=\frac{n!}{k!(n-k)!}. 定数項として現れる x0,y0x^0,y^0 は、多項式の記法で 11 と扱います。

成立する条件

nn は非負整数です。負数や分数の指数を扱う無限級数の二項展開とは、条件も収束の問題も異なります。

実数や複素数に適用できます。一般の行列では XY=YXXY=YX が保証されないため、同じ形の式を無条件には使えません。0!=10!=1 とします。

証明

  1. n≥1n\ge1 とし、nn 個の括弧 (x+y)(x+y)⋯(x+y)(x+y)(x+y)\cdots(x+y) を考えます。分配法則で展開した各項は、各括弧から xx または yy を一つずつ選んだ結果です。
  2. そのうち kk 個の括弧から yy を、残る n−kn-k 個から xx を選ぶと、積は xn−kykx^{n-k}y^k になります。交換法則により、どの順番で選んでも同じ単項式にまとめられます。
  3. yy を選ぶ括弧の位置を nn 個から kk 個選ぶ方法は (nk)\binom nk 通りです。順序を付けた選び方 n(n−1)⋯(n−k+1)n(n-1)\cdots(n-k+1) を、同じ組の並び方 k!k! で割ることで、この個数が得られます。
  4. どの選び方にも yy の個数 kk がただ一つ対応し、k=0,1,…,nk=0,1,\ldots,n の場合を合わせると全選択を重複なく尽くします。したがって、各単項式にその個数を掛けた総和が展開式になり、二項定理が成立します。
  5. n=0n=0 のときは両辺とも定数 11 となり成立します。また、n≥2, 1≤k≤n−1n\ge2,\ 1\le k\le n-1 として、nn 個から kk 個選ぶとき最後の要素を含むか否かで分ければ、(nk)=(n−1k−1)+(n−1k)\binom nk=\binom{n-1}{k-1}+\binom{n-1}k というパスカルの関係も得られます。

使ってみる

(2x−1)5(2x-1)^5 の x3x^3 の係数は、2x2x を3回、−1-1 を2回選ぶので、(52) 23(−1)2=80\binom52\,2^3(-1)^2=80 です。全体を展開しなくても計算できます。

x=y=1x=y=1 と置くと ∑k=0n(nk)=2n\sum_{k=0}^{n}\binom nk=2^n。これは nn 個の要素の各々を「選ぶ・選ばない」と決める方法の総数でもあります。

注意点

(x−y)n(x-y)^n では、yy に相当する項が −y-y なので (−1)k(-1)^k が付きます。係数だけでなく指数と符号を確認してください。

確認問題

(x+2)6(x+2)^6 の x4x^4 の係数を求めてください。

解答と考え方を見る

xx を4回、22 を2回選びます。係数は (62) 22=15⋅4=60\binom62\,2^2=15\cdot4=60 です。

参考資料・次に読む資料

資料確認日:2026-11-03。