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分類と混同行列・適合率・再現率

Kanapedia AI・人工知能カテゴリ · 2026-11-03

分類器は、正しく当てた数だけでは評価できません。見逃しと誤検出が誰にどれだけ影響するかを、混同行列・適合率・再現率・しきい値から読み取ります。ここでは迷惑メールを陽性と呼ぶ仮想例を使います。

実際を行、予測を列にした混同行列。真陽性4、偽陰性1、偽陽性2、真陰性3の架空例から適合率4/6、再現率4/5、正解率7/10を求める。
分類の間違いを四つに分ける架空の分類例で、診断の性能を示すものではありません。正解率が同じでも見逃しと誤検出の内訳は異なります。適合率などの分母が0になる場合の扱いにも注意します。図を拡大参考:scikit-learn:Model evaluation

予測と実際を別の軸に置く

二値分類では、実際に陽性で予測も陽性なら真陽性TP、実際は陰性なのに陽性と予測すれば偽陽性FPです。実際は陽性なのに陰性と予測すれば偽陰性FN、両方陰性なら真陰性TNです。ここで陽性とは選んだクラスの名前で、病気などを意味するとは限りません。迷惑メールを陽性と決めれば、通常のメールを迷惑扱いするのがFP、迷惑メールを通してしまうのがFNです。表を見る際は行と列のどちらが予測かを確かめ、陽性の意味を途中で入れ替えないようにします。

正解率が高くても役立たない場合がある

仮に1000通のうち迷惑メールが20通しかなければ、全部を通常メールと答えるだけで980/1000=98%の正解率になります。しかし迷惑メールを一通も捕まえていません。正解率は(TP+TN)/(TP+FP+FN+TN)で、少数クラスの見逃しが大きな多数派に埋もれることがあります。モデルの点数を見る前に、クラスの比率と、何もしない場合の成績を調べる必要があります。稀な事象ほど学習や評価の件数が少なくなりやすいため、割合だけでなく、それを計算した件数も併記します。

適合率と再現率を数で区別する

1000通でTP=16、FP=24、FN=4、TN=956なら、迷惑と予測した40通のうち正しかった16通の割合が適合率16/40=40%です。実際の迷惑20通のうち見つけた16通の割合が再現率16/20=80%です。正解率は972/1000=97.2%で、全部を通常扱いする98%より低くても、迷惑を検出する能力は改善しています。どちらを重視するかは、重要な通常メールを失う損失と、迷惑メールが残る負担によります。分母が0の場合にはその指標を通常の割り算で定義できず、集計の取り決めが必要です。

実際/予測陽性と予測陰性と予測合計
実際に陽性TP = 16FN = 420
実際に陰性FP = 24TN = 956980
合計409601000

しきい値を動かすと判断が変わる

分類器が迷惑らしさのスコアを出すなら、一定値以上を陽性とするしきい値を決めます。同じ例と同じスコアでしきい値を下げると、陽性にする範囲が広がり、TPもFPも減りません。再現率は下がりませんが、適合率は必ず単調に変わるとは限りません。しきい値は検証集合で用途に合わせて選びます。ROC曲線は偽陽性率と真陽性率の関係、適合率・再現率曲線は別の側面を示します。AUCが高いことだけで、実際に使う一点の誤検出数や見逃し数まで十分だとは結論できません。

一つの指標に全ての判断を任せない

F1は適合率と再現率の調和平均で、件数では2TP/(2TP+FP+FN)と書けます。先の例なら32/60で約53.3%です。ただしTNを直接含めず、二種類の誤りに異なる費用がある場合もそれだけでは表現できません。またスコア0.8が本当に約80%の確率を意味するかという校正は、分類の正解率とは別の性質です。運用するデータで陽性の割合が変われば、同じ感度・偽陽性率でも適合率が変わることがあります。必要な指標、評価件数、群別の誤り、処理できる件数を合わせて確認します。

試す:しきい値と誤検出・見逃し

固定された10件の架空のスコアを使います。スコアがしきい値以上なら陽性、それ未満なら陰性と判定します。変更するのはしきい値だけで、モデルを学習し直す操作ではありません。

実際と予測の組み合わせ
実際 \ 予測陽性陰性
陽性真陽性 TP:4偽陰性 FN:1
陰性偽陽性 FP:2真陰性 TN:3
適合率66.7%
再現率80.0%
正解率70.0%

10件の判定を確認する
例スコア実際予測結果

このスコアは説明用で、校正された確率や実際の診断性能を表しません。分母が0の指標は「—(分母0)」と表示します。

確認問題

TP=16、FP=24、FN=4、TN=956のとき、適合率と再現率はそれぞれ何%ですか。

解答と考え方を見る

適合率はTP/(TP+FP)=16/40=40%、再現率はTP/(TP+FN)=16/20=80%です。前者は陽性と予測したものを分母にし、後者は実際に陽性だったものを分母にします。

参考資料・次に読む資料

資料確認日:2026-11-03。