角運動量
角運動量(angular momentum)は、回転運動の状態を表す物理量であり、孤立系では保存される重要な保存量である。
質点の角運動量
位置ベクトル r と運動量 p に対して、角運動量 L は外積 L=r×p で定義される。
L = r × p
保存則
外力による合トルクが0なら、系の全角運動量は一定に保たれる。回転する天体やスケーターの運動などで現れる。
量子力学
量子力学では角運動量は離散的な測定値を持ち、軌道角運動量やスピンとして重要な役割を果たす。
回転軸と慣性モーメント
固定軸まわりの剛体の回転では、軸方向の角運動量はL=Iωと書ける。I=Σmᵢrᵢ²は慣性モーメントで、同じ質量でも軸から遠いほど大きく寄与する。角運動量は原点や軸の選び方に依存するため、保存則を使う際は基準を途中で変えない。
例:腕を縮めるスケーター
外からのトルクを無視でき、慣性モーメントが4 kg m²から2 kg m²へ減るとする。初めの角速度が3 rad/sなら、保存則から4×3=2ω、よってω=6 rad/sとなる。回転エネルギーは18 Jから36 Jへ増えるが、そのエネルギーは腕を引き寄せる筋肉の仕事から供給される。角運動量保存と運動エネルギー保存は同じではない。
中心力と惑星運動
中心へ向かう力ではrとFが平行なので、トルクτ=r×Fが0となる。そのため角運動量が保存され、半径ベクトルが単位時間に掃く面積も一定になる。これはケプラーの面積速度一定の法則につながる。量子力学のスピンは角運動量だが、小さな球が古典的に自転する像だけでは説明できない。
確認問題
慣性モーメントを変えず角速度を2倍にすると、角運動量と回転エネルギーは何倍か。
解答と考え方を見る
L=Iωは2倍、K=Iω²/2は4倍。角運動量とエネルギーは速度への依存の仕方が異なる。
参考資料・次に読む資料
- OpenStax: University Physics Volume 1力学・振動・波を体系的に学ぶ大学向け教科書。
資料確認日:2026-10-12。