エントロピー
エントロピーは、熱力学や統計力学において系の状態数や不可逆性と関係する物理量である。
熱力学的定義
可逆過程で、温度 T の系に微小な熱 δQrev が加わるとき、エントロピー S の変化は
dS = δQrev / T
で定義される。統計力学的解釈
ボルツマンの関係式では、ある巨視的状態に対応する微視的状態数を Ω として
S = kB ln Ω
と表される。第二法則
孤立系ではエントロピーが減少しないという熱力学第二法則が成り立つ。平衡状態は、制約のもとでエントロピーが最大となる状態として扱える。
エントロピーは状態量
エントロピー変化は初期状態と最終状態で決まり、実際の過程が不可逆でも、同じ二状態を結ぶ仮想的な可逆経路で∫δQrev/Tを計算できる。不可逆過程の実際の熱を単純にTで割るだけでは、一般に系のエントロピー変化にならない。単位はJ/Kである。
例:高温から低温へ熱が流れる
温度を一定とみなせる600 Kの熱源から300 Kの熱源へ100 Jが流れたとする。高温側は−100/600 J/K、低温側は+100/300 J/K変化する。全体は約+0.167 J/Kとなり、総エントロピーが増える。熱は保存されていても、同じ量の熱から取り出せる仕事の可能性は低下する。
「乱雑さ」という比喩の限界
エントロピーを見た目の散らかりだけで判断することはできない。統計力学では微視的状態の数や確率分布に結び付けて定義する。冷蔵庫の内部や結晶化する物質で局所的にエントロピーが減っても、周囲への排熱まで含めて増えていれば第二法則に反しない。情報エントロピーとは数学的に関連するが、単位や物理的意味をそのまま同一視しない。
確認問題
可逆断熱過程ではエントロピーは変化するか。
解答と考え方を見る
δQrev=0なので変化しない。ただし断熱でも不可逆な過程では、内部のエントロピー生成によって増えることがある。
参考資料・次に読む資料
- OpenStax: University Physics Volume 2熱力学・電磁気学を体系的に学ぶ教科書。目次から対応分野へ進める。
資料確認日:2026-10-12。