ブラックホール
ブラックホールは、重力が極めて強く、事象の地平面の内側から光さえ外部へ到達できない時空領域である。
事象の地平面
ブラックホールの境界として重要なのが事象の地平面である。これは物質の表面ではなく、内部から未来に向かって外へ信号を送れなくなる時空上の境界である。
形成
恒星質量ブラックホールは、大質量星の進化末期に重力崩壊によって形成される場合がある。銀河中心には太陽の数百万倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在する。
観測
ブラックホールそのものは光らないが、周囲の高温ガス、星の運動、重力波、ブラックホール近傍の電波画像などからその存在を調べられる。
熱力学
量子効果を考慮するとブラックホールには温度とエントロピーを対応させることができ、重力・量子論・熱力学の接点として研究されている。
シュワルツシルト半径
回転せず電荷を持たない球対称ブラックホールでは、地平面の面積半径はrₛ=2GM/c²となる。太陽質量なら約3 km、太陽の10倍の質量なら約30 kmである。この式はニュートン力学の脱出速度からも形式的に得られるが、光が逃げられない因果構造の説明には一般相対論が必要になる。
例:同じ質量なら遠方の重力は
太陽を同じ質量の非回転ブラックホールへ置き換える仮想例では、十分遠い地球付近の重力や軌道はおおむね同じになる。ブラックホールだから遠くの物質を特別に強く吸い込むわけではない。違いが顕著になるのは、元の天体の表面より内側まで近づけることや、地平面付近の強い時空の効果である。
画像と理論的課題
観測画像の明るい部分は主に周囲の放射であり、地平面の物質表面を撮ったものではない。暗い影の大きさも地平面そのものとは一致せず、光の曲がり方に依存する。ホーキング放射は量子場理論を曲がった時空で扱った予測で、天体ブラックホールから直接検出されたという意味ではない。中心特異点や情報問題は理論の限界を調べる課題となる。
確認問題
質量が2倍の非回転ブラックホールの地平面半径は何倍か。
解答と考え方を見る
rₛはMに比例するため2倍。地平面の面積は半径の二乗に比例するので4倍になる。
参考資料・次に読む資料
- NASA Science: Black Holesブラックホールと観測の考え方を説明する公的資料。
- OpenStax: University Physics Volume 3光学・相対論・量子物理を体系的に学ぶ教科書。
資料確認日:2026-10-12。