イオン結合
イオン結合(ionic bond)は、正負のイオン間に働く静電引力によって形成される化学結合である。
形成
電子の移動により陽イオンと陰イオンが生じ、それらがクーロン力で引き合うことで結晶を形成する場合がある。
イオン結晶
多くのイオン化合物は個別の分子ではなく、多数のイオンが規則正しく並んだ結晶格子として存在する。
性質
融点が比較的高いものが多く、融解状態や水溶液中ではイオンが移動できるため電気伝導性を示す場合がある。
一組の分子でなく結晶格子
NaCl結晶の化学式はNa⁺とCl⁻の個数比1:1を表す組成式であり、独立したNaCl分子が並んでいるという意味ではない。各イオンは周囲の多数のイオンと相互作用する。結晶全体の静電的安定化を格子エネルギーの概念で扱う。
例:電荷から組成を決める
Mg²⁺とCl⁻から中性の化合物を作るには、マグネシウム一個につき塩化物二個が必要なのでMgCl₂となる。Al³⁺とO²⁻なら正負の最小共通の電荷量6にそろえ、Al₂O₃となる。原子の個数をそろえるのでなく、まず正負の電荷の総和を0にする。
融点・もろさ・溶解性
イオン結晶が変形して同符号のイオンが向かい合うと反発が強まり、割れやすさに関わる。固体ではイオンの移動が制限されるが、融解時や溶解時には移動できるため電気を通しやすい。すべてのイオン結晶が水へよく溶けるわけではなく、格子をほどく負担と溶媒和による安定化などの競合で決まる。
確認問題
NaCl結晶とNaCl水溶液の電気伝導性が異なる主な理由は何か。
解答と考え方を見る
水溶液ではイオンが移動して電荷を運べるため。固体にもイオンは存在するが、通常の条件では格子内で自由に移動しにくい。
参考資料・次に読む資料
- OpenStax: Chemistry 2e原子・結合・反応量・平衡・速度論・分析などの体系的学習資料。
資料確認日:2026-10-12。