イオン
イオン(ion)は、正または負の正味電荷を持つ原子または原子団などの化学種である。
陽イオンと陰イオン
正電荷を持つものを陽イオン、負電荷を持つものを陰イオンという。中性原子からの電子の喪失・獲得は代表的な生成過程である。
溶液中のイオン
電解質が水に溶けるとイオンに分かれることがあり、溶液は電気を通す。酸・塩基反応や電気化学でもイオンが中心的役割を持つ。
結晶
正負のイオンが静電引力によって規則的に並ぶと、イオン結晶を作る。代表例として塩化ナトリウムがある。
単原子イオンと多原子イオン
Na⁺やCl⁻は単原子イオン、NH₄⁺やSO₄²⁻は多原子イオンである。イオンは正味の電荷を持つ化学種という分類であり、生成の仕方は電子の授受だけとは限らない。例えばNH₃がH⁺を受け取ってNH₄⁺となる酸塩基反応でも、イオンができる。
例:水中での溶媒和
NaClが水に溶けると、Na⁺とCl⁻の周りへ極性を持つ水分子が配向して安定化する。陽イオン側には水の酸素側、陰イオン側には水素側が向きやすい。水中のイオンは裸の粒子がそのまま浮いているというより、溶媒と相互作用した状態である。水素イオンも水中では水和した形で扱う。
電荷収支と移動
巨視的な溶液では通常、正負の電荷がほぼつり合う。CaCl₂が完全に解離すれば、Ca²⁺一個にCl⁻二個が対応し、濃度もその比で生じる。電場をかけると陽イオンと陰イオンが逆方向へ移動して電流を運ぶが、イオンの速さは電荷の大きさだけでなく、溶媒和や摩擦でも変わる。
確認問題
0.10 mol/LのCaCl₂が完全に解離し、体積変化を無視するとCl⁻濃度は何mol/Lか。
解答と考え方を見る
0.20 mol/L。Ca²⁺は0.10 mol/Lで、電荷の量も+0.20と−0.20 mol分でつり合う。
参考資料・次に読む資料
- IUPAC Gold Book: ionイオンという化学種の用語定義。
- OpenStax: Chemistry 2e原子・結合・反応量・平衡・速度論・分析などの体系的学習資料。
資料確認日:2026-10-12。