騰落率・複利・損失からの回復
割合の足し算だけでは運用成果を測れない。価格、配当、通貨、物価、費用、時間をそろえて比べる。
損失からの回復率を確かめる
価格が下がった後、元の額へ戻るために必要な上昇率を計算します。入出金・配当・税・費用を含まない計算例です。
20%下落:100 → 80。元の100に戻るには25%の上昇が必要です。
回復する確率や期間の予測ではありません。入力値は保存しません。100%の損失では残額が0となり、同じ残額への上昇率では元に戻せません。
上昇率と下落率は対称ではない
100が80になれば20%下落だが、80から100へ戻るには25%上昇が必要である。割合を計算する元の金額が違うため、20%上昇では96にしかならない。
途中の入出金、配当、税・費用を除いて同じ資産価値を比較する例である。回復に必要な率は、回復する確率や所要期間を示さない。
| 下落率 | 回復に必要な上昇率 |
|---|---|
| 10% | 約11.11% |
| 20% | 25% |
| 50% | 100% |
| 80% | 400% |
複利と平均
各期間の収益率をr₁、r₂とすれば、資産倍率は(1+r₁)(1+r₂)となる。+20%、次に-20%なら1.2×0.8=0.96で、通算4%の減少である。単純平均の0%とは一致しない。
一定の年率を仮定する複利計算は比較用の模型であり、実際の毎年の収益率を保証しない。積立の入金時期が違えば、同じ指数でも個人の成果は異なる。
名目・実質・総収益
価格だけの騰落率と、配当や利息を含む総収益を分ける。さらに物価上昇を考慮した購買力の変化を見る。仮に名目収益率5%、物価上昇率3%なら実質は1.05÷1.03-1≒1.94%である。
外貨資産なら為替も掛け合わせる。税や手数料、売買時のスプレッドを入れると受取額は変わる。
歴史のグラフを比較するとき
期間の始点・終点、指数の構成、配当再投資、通貨、インフレ調整をそろえる。最も良い時点だけを選ぶと、一般的な成果よりよく見える。
生き残った市場・企業だけを調べる生存者バイアスにも注意する。過去の回復は、将来や個別銘柄の回復の保証ではない。
確認問題
100が50へ下落した後、50%上昇した。元へ戻ったか。
解答と考え方を見る
戻らない。50×1.5=75。50から100へ戻るには100%の上昇が必要。
参考資料・次に読む資料
- 米SEC Investor.gov:Introduction to Investing株式・債券・指数連動商品の概説。米国向け制度の説明と一般概念を区別。
- 米SEC Investor.gov:Asset Allocation and Diversification分散、リスク許容度、投資期間。分散は損失をなくすものではない。
- Federal Reserve History:Stock Market Crash of 1929暴落とその後の大恐慌を区別。指数のピーク・底・回復の定義に注意。
資料確認日:2026-11-06。