記憶
記憶は、経験した情報を符号化し、保持し、後に検索して利用する一連の過程である。
記憶の過程
注意を向け、意味づけて情報を取り入れることを符号化という。保持された情報を再び利用する検索には、自由再生、手掛かり再生、再認などがある。
記憶システム
一時的に情報を操作するワーキングメモリと、長期に保持される長期記憶を区別する。長期記憶には、事実や出来事を意識的に想起する記憶と、技能や条件づけのような記憶がある。
忘却
時間経過だけでなく、干渉、検索手掛かりの不足、符号化の浅さなどによって想起が難しくなる。忘却は不要な情報を整理する適応的な面も持つ。
記憶の再構成
記憶は録画のような完全な保存ではない。想起時に知識、期待、質問の仕方から再構成され、確信が強くても誤りを含むことがある。
作業記憶と長期記憶の協力
電話番号を一時的に保つことと、文章の意味を理解しながら前の情報を使うことは関連するが、後者には保持と操作が必要になる。作業記憶の容量は課題や情報のまとまり方で変わる。熟知した単位へまとめるチャンク化は、長期記憶の知識を利用して一度に扱う負担を減らす。
事例:思い出せないのか覚えていないのか
人の名前を自由に思い出せなくても、候補を示されると分かる場合がある。これは検索手掛かりの効果を示し、自由再生と再認の成績は一致しない。反対に候補が見慣れているだけで誤って選ぶこともあるため、再認が正確な記録の取り出しとは限らない。
確信と正確さ
記憶は想起のたびに文脈や知識の影響を受ける。誘導的な質問や後から得た情報が報告へ混ざる可能性があるので、目撃証言では質問の仕方や情報を得た順序が重要になる。忘れた情報がすべて保存されていて必ず取り戻せるとも言えない。復習では間隔を空けて思い出し、誤りを訂正し、複数の手掛かりと結び付けるという考え方が使われる。
確認問題
強い確信を持って思い出した内容は、必ず正しいか。
解答と考え方を見る
必ずしも正しくない。確信と正確さは関連する場合もあるが同一ではない。独立した記録や他の情報で確かめることが重要。
参考資料・次に読む資料
- Roediger & Karpicke (2006): Test-Enhanced Learning想起練習と後の保持を比較した研究。学習条件と測定時点に注意して読む。
- OpenStax: Psychology 2e心理学の分野と研究法を体系的に学ぶ教科書。
資料確認日:2026-10-12。