脳卒中と脳血流
脳卒中は脳の血管の閉塞や破綻により、脳の機能が突然障害される病気である。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが含まれ、病型によって治療が異なるため迅速な評価が必要となる。
詰まる病気と出血する病気
脳梗塞では血流が途絶えて酸素や栄養が届かず、脳組織が傷つく。血管の動脈硬化、心臓でできた血栓、細い血管の障害など成り立ちは様々である。脳出血やくも膜下出血では、漏れた血液による組織障害や圧力の変化が問題となる。
突然の症状を見逃さない
顔の片側のゆがみ、片方の腕や脚の力が入らない、言葉が出ない・理解できない、ろれつが回らないといった症状が代表的である。急な視覚の異常、強いふらつき、経験したことのない激しい頭痛も重要になる。典型的な症状が全てそろうまで待つ必要はない。
発症時刻は治療判断の材料になる
日本では疑わしい症状が急に現れたら119番へ連絡し、本人が車を運転しない。最後に普段通りだった時刻と症状に気付いた時刻を伝える。短時間で症状が消える一過性脳虚血発作でも早期の脳梗塞につながる場合があり、消えたから安全と考えて放置しない。
画像で病型を分けて治療する
CTやMRIなどで出血の有無や血管の状態、傷害の範囲を評価する。条件に合う脳梗塞では血栓を溶かす治療やカテーテルで取り除く治療を検討する。適応は時間、画像、出血リスクなどに依存する。原因が不明な段階で自己判断の抗血栓薬を飲むと、出血性の病気では有害になり得る。
急性期の後にも治療は続く
嚥下の評価、栄養、リハビリテーション、再発予防、生活や就労への支援が重要となる。再発予防は原因に応じて血圧管理、抗血小板薬や抗凝固薬などを選ぶ。回復の速度と程度には幅があり、画像や発症直後の一つの所見だけで将来の機能を断定できない。
脳卒中後は飲み込む機能が低下し、むせが目立たなくても誤嚥する場合がある。急性期に安全を確認せず飲食を勧めることは避け、嚥下評価に応じた食形態や訓練で肺炎などの合併症を減らす。
確認問題
急に片腕の力が入らなくなったが、10分後に戻った。症状が消えたことだけで安全と言えるか。
解答と考え方を見る
言えない。一過性脳虚血発作などの可能性があり、後の脳卒中に先行する場合がある。突然の神経症状として直ちに救急評価につなげ、経過と時刻を伝えることが重要である。
医学記事は一般的な学習のための情報です。個別の診断・治療の代わりにはなりません。症状や検査値は背景と経過を含めて評価し、処方薬の開始・中断・変更は担当の医療者へ相談してください。
参考資料・次に読む資料
- NHLBI:Stroke虚血性・出血性脳卒中、症状、時間の重要性。
- 国立循環器病研究センター:脳卒中日本語で読む脳卒中の病型・検査・治療。
- 総務省消防庁:救急車利用ガイド日本での119番通報と救急車利用の案内。
資料確認日:2026-10-13。